Q1.脳とはどんなものか?
脳は大きなあみだくじ
現在、脳=心とする本もあります。脳が心のカギを握っているのは間違いありません。そこで、脳がどのようなものなのかを簡単に説明しましょう。
脳のしくみを単純にイメージするなら、あみだくじのようなものだと思ってください。ずいぶん乱暴な意見だと思うかもしれませんが、基本的にはそう考えて十分なのです。もちろん、あみだくじよりずっと複雑です。脳とは、枝分かれしたり、合流したり、ぐるぐる回転して同じ所を通ったり、線の書き換えが起こる、ちょっと変わったルールをもったあみだくじの一種なのです。特大あみだくじなのです。
一般に脳をコンピュータにたとえることが多いのですが、これはあまり適切ではありません。鳥を飛行機にたとえて理解しようするようなものなのです。ボーイング747を分解しても、スズメがなぜ飛べるかはわからないのです。
あみだくじと脳には共通点が多くあります。
・あみだくじの線は一方通行で逆行できないが、脳の線であるニューロン(脳の神経細胞)もやはり一方通行である。
・あみだくじには、スタートとゴールがあるが、脳ではスタートが環境で、ゴールが行動となる。ただし、脳は複数の位置からスタートして、ゴールもその組み合わせで決められる。
・あみだくじではスタートが同じならゴールも同じになるが、脳もスタート位置の組み合わせが同じならゴールの位置の組み合わせも同じとなる。すなわち、環境と脳が同じときは、行動も同じになる。
これが、脳を情報処理器官とする心理学の考え方です。ここで大事なことは、脳には必ず入力が必要であるということです。
脳は入力された信号を処理して運動プログラムへと変換する、言い換えると、状況判断して行動するための装置なのです。
また、その複雑さからイメージすると、パチンコにも似ています。パチンコ玉を打つのが五感からの入力で、大当たりが体を動かすこと、中のクギによる複雑な玉の動きやスロットの回転が脳の活動だと思うのもよいでしょう。