Q89.植物や動物の心とはどんなものか?

A.希薄な無意識と感情を中心とした意識

 人間以外の心について考えてみましょう。
 植物に、磁気や音楽による振動などを与えると成長が促進されます。ホルモンを出して成長を調整できるのです。こうしたことでなくとも、日光などにより、植物の成長は環境の影響を受けています。そして、植物の呼吸は酸素を生み出し、環境を変化させます。ここに環境との相互作用があります。
 しかし、植物は動物と異なり、動きません。環境に与える力、スピードともにゆるやかで、その情報の循環はおそろしく緩慢です。
 植物には神経細胞がありません。情報の循環を作るための特別のループが存在しないのです。ですから、植物の心は、限りなく希薄です。植物は、限りなく希薄な無意識だけをもつといえます。
 次に、動物について考えてみると、神経細胞がある動物には環境との情報循環がありますから生命意識があるといえますし、大脳皮質が発達した動物には、脳の中に循環回路があり自己意識があると考えられます。
 動物にはどのぐらいの知能があるのでしょうか。クジラ、イルカは人類より大きな脳をもっています。しかし、人類より賢いと考える人はあまりいません。
 この、動物と人を分ける決定的な要素はワーキングメモリです。人類以外の動物は、ワーキングメモリが弱いため、思考のループが増幅されず弱いままです。動物の意識は、ほとんどが生命意識の作用なのです。とりわけ、感情による判断が中心です。人類のような計算ずくの行動ではなく、感情のおもむくまま生きるのが動物なのです。
 人類は思考のループと行為のループを相互作用させることができます。人類の脳は、一つのことの処理に、繰り返し使用できるのです。そのために、脳の大きさ以上の差ができます。
 加えて、人類には言葉、文字、道具、コンピュータなど、行為のループを強める方法まであります。そのため、人類と動物は決定的に異なるのです。