Q79.他人を理解するには何が必要か?
A.自分とは違う考え方を理解しなければならない
人はなぜたびたび他人について誤解したり、相手の行動を不思議に思うのでしょうか?
それは私たちの考え方に問題があるためです。ふつう私たちは、相手がどんなことを考えているかを、相手の身になって考えてみます。自分が相手だったらどう考えるかを考えるわけです。ところがこれは相手が自分と同じでなければ正しく当てることができません。
性格の違う人は、相手の立場になっても理解できないのです。他人とあなたは別人なのだということです。
他人を理解するには、性格の違いにはどんなものがあるかを知る必要があります。
心理学ではバーナム効果というものが知られています。あなたはこういう性格だという文章を読んだりしたときに、それが当たっていると感じる傾向です。あなたはくよくよする方だとか、真面目な一面がある、二面性がある、三日坊主で長続きしないなど。
人間の性格は複雑な構造を持ち、さまざまな特徴をすべて持っているのが普通です。ただそれが行動に表れるかどうかが違うのです。ですから性格について、怒りっぽいとか、猜疑心が強いとか、そういう表現には何の意味もないのです。誰でも必ずそういう一面を持っているからです。そうなのかなと思って自分について考えれば、そういう一面が必ず見つかるのです。
ですから、こういう曖昧な、条件が設定されていない表現では性格を理解することはできません。
性格というとき、人が他人について本当に知りたいこととは何でしょうか?
みんなが同じ行動するようなことについて予測できても意味がありません。火事のときに逃げ出すとかは誰でも同じで性格は関係ありません。人が知りたいのは、たくさんの選択肢があるときにどれを選ぶかでしょう。
ですから、優れた性格分類とは行動に選択肢があり、どんな選択をしてもよいと思えるときに、その人の行動の予言できる性格分類こそ本当の性格分類なのです。
こうして行動を基準にして適切に分類された性格によって、相手が自分と同じタイプか違うタイプかを知り、それに応じて相手の心を想像してこそ、他人についてよく理解できるのです。