Q78.神とは何か?
A.神は血縁淘汰と記憶力の発達が生んだ架空のリーダーである
神の考えには大きく三つあります。人格神、創造神、法則神です。
アニミズムにおける自然の神、たとえば山の神など、あるいはギリシャ神話の神、あるいは能力のある人間が不遇の死を迎えると、神となり地上にさまざまな現象を起こすとされます。人格があり人間のように喜怒哀楽がある神です。これがもっとも初期の形の神でしょう。
創造神は、この世界を造った神で全能の存在で善悪をも超えていますが、それでも人間的な要素がかなり残っています。世界の始まりの神話ととも想定される神です。
法則神とは、この世界の物理法則などがそのまま神なのだとする考えです。スピノザやアインシュタインもそう述べたと言われています。
神の効果はさまざまです。
感謝の項で述べたように、集団内の摩擦を減らす効果があります。
神の存在はその集団の結束を高めると考えられます。
また宗教では、感情の対立に際して優先すべき感情を指定します。キリスト教の愛や儒教の仁、仏教の空などは心の中で複数の感情が対立し、攻めぎ合うとき、どの感情を優先すべきか事前に指定しており、これにより人は葛藤の苦しみから解放されると考えられます。
神の特徴は超自然的な力を持つこと、人々の行動を律することです。
見えない力と全能の知識があり、人々は恐れかつ信じています。教義や戒律があり人々はその指示に従って行動します。
神は愛を捧げる対象であり、その大きな力で保護してもらう親のような存在でもあります。
フロイトは、神とは幼児的な依存感情に基づく強大な父の幻想であるとし、宗教は強迫神経症に似ていると言っています。
ある動物行動学者は、神とは集団動物における群れの幻想のボスであると考えています。
記憶力と想像力の発達した人類が、架空の理想のリーダーを仮設したもの、血縁淘汰と記憶力の発達が生んだ架空のリーダーが神なのです。