Q73.【無力感】とは何か?

A.希望の達成不能感が【無力感】

 無力感は、失望から評価による分岐をした感情です。
 努力したにもかかわらずテストの点数が低いときなどに無力感を感じます。ただし、そのテストの点数にたいして感じるのではなく、次のテストもよくないだろうという、努力しても無駄だという予測によって生まれます。なぜ成績が悪かったのかはっきり理由があれば無力感はないのです。無力感とは、希望を達成することができないという感覚なのです。
 劣等感は、優越感と同様、競争社会であるため無力感が比較の形であらわれたものです。希望が相手を上回ることで、それができないと、劣等感と呼ばれるのです。
 無力感をもっている人間は、行動の積極性が失われます。どうせうまくいかないと考えて行動しようとしなくなります。何かをしなければならないときも、どうせ成功しないと感じて、なかなか行動できず、優柔不断な人間となります。
 無力感は、記憶により失望が持続したものであり、淘汰上の価値は少ないのです。せいぜい行動を停滞させて、反省を生み、人生の方向転換を促進する程度なのです。
 草食動物が肉食動物に捕らえられると、意外に早く無抵抗になります。そのとき仲間が現れ、助かる望みを感じると抵抗を再開し、脱出できることがあります。このことは、力をすべて出し尽くして倒されるのではなく、たいていは無駄なあがきをせずに食べられてしまうということです。哺乳類には無力感があるのかもしれません。