A.学問の時空間に問題の位置がある
調査の段階で調べる領域を図示すると次のようになります。
| 内 ⇒ 空間軸 ⇒ 外 |
過去
↓
時間軸
↓
未来 |
| 歴史 | |
構造 | 体感 | 比較 |
| 実行 | |
これらはただ情報の種類というだけでなく、研究法の違いにもなります。情報の処理の仕方が違うのです。
【 体感 】
現在のその出来事を描写し、感情を喚起し不当性を主張する方法。それ自体の問題性を問うことができます。問題の再確認にもなります。
【 歴史 】
過去の出来事から一貫性を主張する方法。問題に至るまでの変化を追います。未来への予測を立てることができます。
【 比較 】
類似する例から平等性を主張する方法。
【 構造 】
内部の構造から必然的な因果性を主張する方法。
【 実行 】
未来を推定しその状況の妥当性を主張する方法。
こうした研究による5種類のデータは、何かを主張するときの根拠になります。
あなたの夫が煙草を吸っているが、禁煙して欲しい。このとき何と主張すればよいか?
【 体感 】部屋が汚れて汚いし、一緒に居て煙たい。
【 歴史 】スポーツジムに通ったり朝にランニングたり健康管理しているのに煙草は無駄。
【 比較 】友人のAが禁煙した。世界は禁煙の趨勢がある。
【 構造 】肺を破壊するメ
カニズムを説明する。子どもの健康にもよくない。
【 実行 】煙草を吸わなければその分お金が貯まる。健康になる。食べ物も美味しくなる。
問題を解くための情報には種類があり、得られるものも異なります。それらを組み合わせることがより優れた分析方法ですが、この5つは同じテーマを扱うにもかかわらず、学問は違うものになっているところが注意点です。
この5つの領域の考え方を学問全体に当てはめることで、問題がこの宇宙のどこにあるかを考えることができます。
宇宙とはどんな意味でしょうか。
"宇"とは空間のこと、"宙"とは時間のこと。宇宙とは時空間のことです。宇宙全体を網羅して、問題を解くのに必要な情報を逃さないために、空間のサイズを横軸に取り、時間の方向を縦軸に取り、時空間の
マトリックスを作ります。そこに学問の種類を割り当てていきます。すると、宇宙における問題の位置を見いだすことができます。
| 小 ⇒ (空間軸) ⇒ 大 |
過去
↓
(時間軸)
↓
未来 |
哲学 | 天文学 | 進化論 | 行動科学 | 文学 | 文化史 | 経済学 | 歴史 |
論理学変化 | 物理学物質 | 遺伝子細胞 | 脳科学身体 | 人類学個人 | 社会学組織 | 政治学国家 | 国際政治人類 |
数学 | 工学 | 生命科学 | 医学 | 教育 | 社会心理 | 法学 | 思想 |
これはあくまでも見安ですが、学問の宇宙の構造はわかると思います。
ある一つの主題について調べるときの視点が比較の場合、マスは2列目になります。比較の視点の一つ左側が構造の視点であり、一つ上が歴史、一つ下が実行になります。
ある問題に正確に答えるためには宇宙のすべてを知る必要はありません。
ラプラスの悪魔になる必要はないのです。ある学問を中心に時間と空間のスケールで隣接した学問の知見を調べればよいのです。学問の図の中で問題のありかを特定できたならば、ただその学問について調べるのではなく、その周辺に位置する学問についても調べることでより高度な分析をすることができるのです。