Q9.プライミング効果とは何か?

【直感=プライミング効果】大脳皮質の組み合わせの線の記憶

 プライミング効果とは聞きなれない言葉と思います。プライミング効果とは、意識させずに情報を提示することにより、次の作業の判断が速くなったり遅くなったり、あるいは正確になったり不正確になったりする作用のことです。
 意識させないとは、意識できないほど非常に短い時間だけ映像を見せたり、それ覚える以外の作業するように命じて情報を与えたりするのです。それは、順番に単語を見せて、好きか嫌いかを判定してもらった後、単語を思い出してもらうといったことです。
 海馬に比べると非常に弱いものですが、一度流れたルートが強化される性質は感覚連合野にもあります。Aという入力に続いてBを入力すると、Bの一部がAに変換されます。これがプライミング効果となります。
 プライミング効果の典型例が、野球の配球です。ツーストライク・ノーボールのカウントでは、高めのストレートのボール球を投げることが定跡です。そして、決め球はボールになるフォークか、外へ逃げるスライダーとなります。これがわかりきっているにもかかわらず空振り三振することが多いのです。
 これは、プライミング効果がストレートのボールの軌道を記憶してしまうためです。そのため、変化球と予想していてもボールの動きがストレートに見えてしまうのです。
 プライミング効果も、運動性記憶と同じく脳ではループではなく線であり、実際に記憶を引き出すべき環境に当てはまると、環境と組合わさった輪が完成し、記憶がよみがえります。そのため、変化球につられないようになるには、何回も実際に見て慣れる以外にありません。
 日常生活にもプライミング効果はあります。人はときに、なぜだかわからないがそのような気がして、実際にその通りになることがあります。そして、聞かれると直感、霊感がはたらいたからと説明します。これもおそらくはプライミング効果と考えられます。日常生活のプライミング効果では、いつどのように記憶したか覚えていないのです。また、プライミング効果は、ループではないからどのようにして判断したかを思い出すことはできません。ただ、その同じか似た状況においてのみ再現されます。そうしたことは、直感として感じられるのです。